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角膜移植とは
角膜移植は移植手術のなかで、最も歴史が長く、また、生着率は80%を超える安定した手術です。
1.角膜の働き
2.角膜移植が必要となるのは?
3.角膜移植が必要な病気
4.手術方法は?
5.角膜の提供はどのように行われますか?
6.角膜移植後の視力はどうですか?

1.角膜の働き
角膜はいわゆる"黒目"の部分のドーム型をした透明の膜で、目が見えるためにとても重要な役割をしています。
角膜の役割は大きく分けて2つあります。
(1)光を屈折して網膜に焦点を合わせて画像を鮮明にうつす働き
(2)眼球の壁の一部として目の形を保つ働き

角膜は透明なレンズで外界に接し、眼球の壁の一部であるという特殊な組織です。

2.角膜移植が必要となるのは?
(1)角膜が混濁したり、表面がでこぼこになったりして、レンズの役割が果たせなくなったとき
(2)角膜に穴があいて(穿孔)、眼球の壁としての働きが出来なくなったとき

このような場合角膜の移植が必要になります。

3.角膜移植が必要な病気
代表的なものをいくつかあげます。
(1)水疱性角膜症
角膜の内側にあってポンプの働きをして、角膜の厚みを一定に保っている内皮細胞と呼ばれる細胞があります。この細胞はもともと増殖できないので、年齢を重ねるとだんだんと減ってきます。しかし感染や、先天異常、緑内障発作、手術などによって大きく数が減少することがあります。正常では、1平方ミリメートルあたり2,000個以上あるのですが、これが500個以下になると、角膜の厚みが分厚くなって白く混濁します。また、角膜に水がたまってはじけると、強い痛みを感じます。これが水疱性角膜症です。角膜内皮細胞の数を増やす方法は現在のところ、角膜移植手術しかありません。

(2)角膜実質炎
幼い頃に麻疹(はしか)やトラコーマなどに感染して角膜炎をおこし、角膜に、にごりが残った状態です。角膜の濁りが浅い場合には角膜全部を移植するのではなく、濁った部分だけを移植する表層角膜移植や、深層角膜移植が適応となります。

(3)円錐角膜
角膜が目の中の圧力に負けて、突出してくる状態をいいます。このため、レンズとしての角膜が変形して、強い近視や乱視を来します。軽度の場合は、コンタクトレンズによって角膜の形を修正しますが、重症ではコンタクトレンズ装用が難しいので、全層角膜移植や深層角膜移植を行います。

(4)角膜ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによって起こる角膜炎で、最近はゾビラックスという強力な抗ヘルペス薬ができたので、角膜移植に至る症例は少なくなりました。しかし、ゾビラックスが登場する前に強い角膜炎を来した症例では、強い角膜混濁を残している症例があります。このような場合は角膜移植の対象となります。

(5)角膜変性症
先天的な原因で、角膜に異常物質が沈着したり、角膜内皮細胞が変性したりする病気です。

(6)化学腐食
酸やアルカリ、石灰などの薬品が目に飛入して、角膜と結膜に強い瘢痕と濁りを来すことがあります。強い障害を来していることが多いので、輪部移植や羊膜移植などを併用した高度の治療を必要とすることが多い病気です。

4.手術方法は?
角膜移植には、以下に述べるさまざまな方法があります。以前はほとんどの症例に全層移植が行われていましたが、最近では、角膜の異常のある部位のみを移植する角膜部分移植が主流となりつつあります。
(1)表層角膜移植術
角膜の表面の、角膜上皮と角膜実質の一部のみを切除して、切り取った部分に相当する角膜を、移植する方法です。角膜混濁が、浅い部分に存在する場合に、行います。近年では、レーシックに使用するマイクロケラトームという器械で混濁除去と角膜移植片作成を行い、より精密に手術を行うALTKと言う手術法が開発されています。

(2)深層角膜移植術
角膜表面の、角膜上皮と角膜実質を、全て切除しますが、デスメ膜と角膜内皮細胞は、残しておく方法です。この方法では、角膜拒絶反応が最も起こりやすい角膜内皮細胞を、自分の細胞のまま残すので、拒絶反応がほとんど起こらないという利点があります。自分の角膜内皮細胞に異常がない場合には、良い手術方法です。

(3)全層角膜移植
角膜を、角膜上皮、実質、内皮細胞まですべて切除して、角膜を移植します。最も基本的な方法で、角膜混濁が非常に強い場合で内皮細胞が障害されている場合には、他に方法がありません。拒絶反応が最も問題になりますが、ステロイド薬や免疫抑制剤の使用により、かなり頻度は減っています。

(4)角膜内皮移植DSAEK(Descemet's Stripping Automated Endothelial Keratoplasty)
特殊な器具(人工前房とマイクロケラトーム)を使って角膜内皮だけの薄い角膜片(厚さ150〜200μm)を作成し、これを角膜の内側に空気で押さえて貼り付ける方法です。この方法では全層角膜移植で避けることのできなかった術後の強い角膜乱視を防止でき、アメリカでは全層移植の何割かが、この術式に変更されています。

(5)輪部移植術、角膜上皮形成術
角膜上皮細胞は、黒目と白目の境界部の角膜輪部というところに、幹細胞(かんさいぼう)と呼ばれる、角膜上皮の種になる細胞が存在していて、そこから透明な角膜上皮が、のびてゆきます。この幹細胞がなくなると、角膜上皮のかわりに半透明な結膜上皮が、角膜上を覆ってしまい、視力が低下します。このため、この幹細胞が障害されている例には、幹細胞を移植する輪部移植術や、角膜上皮形成術と呼ばれる方法を行います。

(6)羊膜移植術
特にアルカリ外傷などの時は、結膜も瘢痕化して、目が開かないことがあります。この場合は、癒着した結膜を切除して、羊膜という妊婦の子宮から採取した膜を使って再癒着を防ぎ、結膜嚢を再建する方法が用いられます。

5.角膜の提供はどのように行われますか?
角膜は、アイバンクと呼ばれる組織を通じて提供されます。ただ、日本では、角膜提供が少なく、手術まで数年間待つことが一般的です。

6.角膜移植後の視力はどうですか?
角膜移植を受ける患者様の原因となる病気は、上に述べたように様々なので、角膜移植後の視力の回復程度も、病気の程度によってかわります。