皆様には、常日頃から愛媛アイバンクの事業活動にご理解とご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。 このたび、令和6年(2024年)7月をもちまして、岡本茂樹前理事長から代表理事を引き継ぎましたので、この場をお借りしてご挨拶申し上げます。また、愛媛アイバンクの現状についてもご紹介させていただきます。
私は現在、愛媛県立中央病院眼科に所属し、診療を行なっています。1996年に当時大橋裕一元愛媛大学学長が主宰していた愛媛大学眼科学教室へ入局し、角膜疾患に関する指導を受けました。愛媛大学、松山赤十字病院、愛媛県立中央病院で角膜移植を含む角膜疾患の診療に携わり、その間、愛媛アイバンクの評議員および理事を務めながら、愛媛県におけるアイバンク活動に関わっています。
当アイバンクは、角膜提供者と角膜移植患者を結び、角膜提供のお手伝いをするため、昭和61年(1986年)に設立されました。以来、平成、令和と歩みを進め、40年近くにわたり活動を続けてまいりました。これもひとえに皆様方のご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。当アイバンクでは、設立以来、15,000人を超える皆様に献眼登録をいただき、600人以上の患者の方々に移植角膜の斡旋を行ってまいりました。愛媛県では年間60〜70例の角膜移植が行われており、全国的にも角膜移植の盛んな県です。県内医療機関は全国でもトップクラスの角膜移植技術を誇っております。
昨今、角膜移植を取り巻く環境は日進月歩です。自分や他人の角膜細胞を培養して移植する培養細胞移植が始まっており、近い将来、話題のiPS細胞を用いた角膜移植が実現する日もやってくると考えられますが、現実的にはまだまだ献眼登録ドナーからの角膜移植が主流です。しかし、移植用角膜は常時不足しており、必要な角膜の多くを他県や海外から提供を受けているのが現状です。当アイバンクでは、慢性的な角膜提供の不足を解消すべく、積極的に活動を行っております。
昨年、新型コロナウイルス感染症もインフルエンザと同じ五類感染症に移行し、今年は、献眼推進セミナーや献眼登録キャンペーンへの参加を活発に行っております。これからも、角膜移植を待ち望んでいる方々のために、献眼者数を増加させる努力を続けてまいりますので、引き続き、献眼ならびに運営資金のご協力を、どうかよろしくお願いいたします。ちなみに、令和2年度から令和5年度の4年間はコロナ禍で規制されていた期間があったにもかかわらず、合計28名43眼の献眼を集めるなど、愛媛県の角膜移植に貢献することができました。これも故人の献眼のご遺志をご遺族が大切に受け止められ、愛媛アイバンクにご連絡いただいた賜物と、心より献眼者とそのご遺族に敬意を払い感謝を申し上げます。
日常の生活で目が見えないということは、大きなハンデです。しかし、角膜移植によって光を取り戻すことができる患者様がたくさんおられます。皆様にもぜひ、献眼のご登録をお願い申し上げます。
また、献眼には抵抗があるという方もいらっしゃると思いますが、当アイバンクには賛助会員制度がございます。毎年一定の金額をご寄附いただく制度です。角膜提供以外の方法で視覚障害の方の治療に貢献する方法として、賛助会へのご入会をお考えいただければ幸いです。引き続き、皆様方の変わらぬご支援をどうかよろしくお願い申し上げます。
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代表理事 山口 昌彦 |
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