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アイバンクだより Vol.30
角膜診療における角膜移植の重要性
愛媛大学医学部 眼科 鳥山 浩二
 私は現在愛媛大学医学部付属病院に勤務しています。当院には複数の角膜専門医が在籍し、あらゆる角膜疾患に対応しており、愛媛県内全域のみならず近隣の県からも様々な角膜疾患を患った方々が来院されます。

 角膜は眼球の外壁を構成している組織であり、外傷などによって穴が開くなど角膜を大きく損傷すると、穴が開いたボールのように、眼球の形状を保つことが出来なくなります。また角膜はカメラのレンズの様な働きもしており、本来は透明で均一な球面構造をしていますが、ひとたび何らかの原因により混濁や変形を来すとレンズとしての機能を十分に発揮できなくなり、視力が障害されてしまいます。このような状態では角膜移植が唯一の治療法となります。

 角膜に混濁や変形を来す疾患は様々ありますが、私はなかでも感染症を専門にしています。角膜感染症は角膜の中に細菌などの病原体が侵入し、増殖することで角膜組織が破壊されていく疾患です。角膜に感染が起こると強い視力低下、痛みを自覚するようになり、充血やめやになどの症状を伴います。ほとんどの場合は点眼薬などの薬物治療でやがて治癒しますが、感染の規模が大きいと治癒後も角膜の混濁や変形が残存し、視力は元通りには戻りません。また、運悪く薬が効きにくい病原体に感染してしまった場合は、薬物治療のみでは感染が抑えられないことがあります。感染が進行すると角膜が溶けて穴が開いたり、眼球全体に感染が広がり失明に至る危険性があるため、このような際は角膜移植により感染した角膜を除去し、提供して頂いたきれいな角膜と交換する必要があります。

 しかし愛媛県内はまだまだ角膜の提供が少なく、病状に併せてタイミングよく移植を行うのは難しいのが現状です。そのためこのような場合は愛媛県のアイバンクに依頼し、他県のアイバンクと連携を取り全国から角膜を斡旋してもらうよう手配します。全国的にも角膜は不足している状況ですが、提供していただいた角膜は2週間以内に移植しないと透明性が失われていくため、ご献眼があった際にたまたま使用予定がなければそれを送っていただくことができます。角膜感染症は急速に進行する疾患であり、必要となれば移植は速やかに行わなければならないため、この広域斡旋システムにはこれまでに何度も助けていただいており、アイバンク同士の密接な連携体制を心強く感じています。

 角膜の人工代用物はいまだ十分なものがなく、角膜移植はご献眼なくしては成立しません。我々角膜専門医は常に角膜を提供してくださる方々の崇高なご意志とアイバンクの協力に支えられて診療を行っております。これらの温かいご支援にお応えできるよう日々の診療に努めて参りたいと考えております。