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アイバンクだより Vol.27
角膜疾患の医療現場から〜痛みと不安を取り除く最善の治療をめざして〜
愛媛大学医学部眼科学教室 講師 鈴木 崇
 私は、平成22年より、愛媛大学病院眼科に勤務しています。愛媛大学病院眼科には複数の角膜専門医が在職し、あらゆる角膜疾患に対応しています。角膜の状態を把握するための最新の機械も揃っており、愛媛県全域もしくは近隣の県からも来院されています。

 角膜疾患といえどもその原因は様々であるため、検査所見に加えて、複数の専門医と検討を重ねながら、診断と治療を行うチーム診療を行っています。

 私は、角膜疾患のなかでも感染症や炎症といった原因の疾患を専門にしています。角膜感染症は、いわゆるバイ菌が角膜の弱いところから侵入、増殖し、角膜を溶かすことにより角膜を濁らせる疾患で、これは視力を落とすだけでなく、目に痛みも引き起こします。角膜感染症の診断では、どんなバイ菌が作用しているのか、角膜から直接バイ菌を検出して行います。これらのバイ菌には、細菌・真菌(カビ)・アカントアメーバ・ウイルスがあり、治療ではそれらを殺す薬を使用します。多くの場合、薬物治療により感染は無くなり痛みも消えますが、感染自体が消えた状態でも角膜の濁りが残ったり、角膜の表面が凸凹する乱視が起きたりして、視力が戻らないことがあります。

 一方、角膜感染症の中には、バイ菌が角膜の深いところに存在したり、薬に対して耐性を持つ場合などは薬物治療の効果がなく、感染自体が抑えられずに角膜に穴が開く場合があります。このような場合、患者さんは、見えないだけでなく痛みがひどく、日常生活に大きな支障が生じます。この治療では病巣をすべて取り除き角膜移植を行うことが有用ですが、これは時間との戦いでもあり、なるべく早く角膜移植を行う必要があります。

 これらの場合には、アイバンクにお願いし、愛媛県のみならず県外のアイバンクから角膜を斡旋してもらうことになります。新鮮角膜が無い場合は、まず冷凍保存している角膜を利用して移植を行い、一旦感染症を落ち着かせます。保存角膜では透明にならないため、視力向上のために、もう一度移植をやりなおすことがあります。新鮮角膜がある場合には、一度の手術で済むため、患者さんへのストレスをかなり軽減できます。

 角膜の移植は、角膜を提供していただく方がいてはじめて成立しますが、現状では、愛媛県内もしくは国内において角膜が不足しており、タイミング良く病状に合わせた治療を行うことが難しい場合があります。そこで愛媛大学病院では、角膜提供不足を補うためにアメリカから定期的に移植角膜を輸入しており、ある程度、計画を立てて角膜移植をすることが可能です。

 これまでに何度も愛媛アイバンクから角膜の斡旋を受け、感染症などで苦しんでいる患者さんに角膜移植を行い治療することができました。感染症治療として角膜移植を行う場合には早急な対応が必要で、アイバンクの協力なしでは適切な診療が行えないのが現状です。

 患者さんの痛みと不安をいち早く取り除くためにも、少しでも多くの角膜が提供されるように、皆様の温かいご協力が必要になります。

 我々も、皆様のご協力に対して恥じないように真摯に角膜診療に携わっていきたいと思います。
引き続き、温かいご支援をよろしくお願いします。