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アイバンクだより Vol.25
改正臓器移植法施行と臓器提供の現状〜家族間で提供意思の共有を〜
愛媛県臓器移植支援センター 篠原 嘉一
 私は、県の臓器移植コーディネーターをしております。移植コーディネーターというのは、臓器提供のご希望がある家族に対して、移植医療や臓器提供(手続き、流れ、処置等)について説明を行い、その上で提供を承諾される場合には、そのご意思が尊重出来るよう、病院の方々や関係者と協力して、移植を希望される方々へと繋ぐ仕事です。ご家族が、臓器提供とあわせ角膜提供を希望される場合には、愛媛アイバンクのコーディネーターと連携して対応しています。

 改正臓器移植法が平成22年に施行となり、脳死下臓器提供が増えています。これは、これまで本人の書面による意思表示「臓器提供意思表示カード」がないと、脳死下臓器提供は行えませんでしたが、提供要件が緩和され、本人の意思が不明な場合でも、家族の承諾により脳死下提供が可能となったことが大きいと言われています。臓器提供というと、この脳死下提供のことを連想される方が多いかと思いますが、心臓が停止した死後に行う角膜や腎臓提供の選択肢もあります。こちらは以前よりご家族の承諾のみで提供が可能でしたが、脳死法とも言われた旧臓器移植法施行以降「臓器提供」=「脳死」=「臓器提供意思表示カードが必要」と誤解が広まってしまいました。今回の法改正をうけ、ようやく「臓器提供意思表示カード」がなくても提供できるという理解が少しずつ広まってきており、最近では、「脳死状態」「助かる見込みがない」と説明を受けた際、臓器や角膜提供の申し出をされるご家族が増えてきています。

 「臓器提供意思表示カード」がなくても臓器提供は可能ですが、決して不要になった訳ではありません。臓器提供の場面において、本人の意思表示があるということは、家族にとって後悔のない判断がしやすくなります。最愛の人に起こった突然のことに対し、「身体の一部だけでもどこかで生きていて欲しい」と提供を希望されるご家族が多いのですが、故人を想うとき、本人の意思が明確ですと、あの時の判断は本人の希望にも沿ったものだったと振り返ることが出来ます。

 移植医療について話をさせて頂く際、参加者の方々にご家族の提供について質問をすると「本人の意思を尊重したい」という方が多いのですが、実際に「家族内で話をしたことがある」という方はその半数以下になります。先日、某県アイバンクが献眼登録者の実態調査をしたところ、献眼登録していながら家族がそのことを知らず、既に本人が死亡していたという事例が、8ケ月で約60人に上ったそうです。臓器・角膜提供は、「自分の死後、こうして欲しい」ということから、遺言的な意味合いがあると言われますが、残念ながらそのご意思が尊重出来なかったことになります。脳死状態になりますと、本人は意識がありませんので、直接意思を聞くことは出来ません。元気な時から家族で話し合い、お互いの考えを共有しておくことが大切です。そのうえで、その意思を書面に残しておいて頂ければと思います。臓器提供の意思表示には、「提供したくない」という拒否表示や親族優先(一親等に限る)の意思表示も可能です。改正臓器移植法施行にあわせ、運転免許証や健康保険者証の裏面にも意思表示欄が設けられましたので、意思表示の際には、是非ご活用下さい。

 最後になりますが、「臓器や角膜を提供したい・してもよい」とする方々の崇高なご意思が、ひとつでも多く移植を必要とする方々へ繋げられるよう、愛媛アイバンクの方々と協力しながら努力していきたいと思います。