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アイバンクだより Vol.24
〜これからの臓器提供と角膜移植〜
愛媛県立中央病院 眼科 山口 昌彦
 私は現在、愛媛県立中央病院に勤務しています。私自身は、平成21年3月まで愛媛大学病院に勤務し、角膜疾患の診療を中心に従事して参りましたが、ここ県立中央病院では、これまで角膜疾患の専門医が不在でしたので、私が赴任した平成21年4月から、本格的に角膜移植を開始しました。

  県立中央病院で角膜移植を行うに当たり、最も不便に感じたのは、やはり愛媛県内における提供角膜の不足です。愛媛大学病院では、県内あるいは国内の角膜提供不足を補うべく、アメリカから定期的に角膜を輸入して移植を行っています。しかし、県立中央病院では輸入角膜による移植を行うことが制度上難しいため、手術適応の患者様がおられても、従来どおり県内あるいは国内の広域あっせんによる角膜提供を待って移植を行わなければなりません。ここ2、3年、愛媛アイバンクは事業の整備拡大に尽力していますが、平成20年に改正された臓器移植法の負の影響なのか、県内における角膜の提供数は伸び悩んでおり、輸入角膜に頼ることのできない県立中央病院では、他府県アイバンクの余剰角膜をあっせんしてもらいながら、何とか角膜移植を続けている状況です。

  将来、日本の角膜移植医療はどのようになっていくのでしょうか?平成20年に国際移植学会が中心となって開催された国際会議で、WHOは、「臓器売買・移植ツーリズムの禁止」、「自国での臓器移植の推進」等を謳ったイスタンブール宣言を行いました。この宣言にともない、日本のように海外からの輸入角膜に頼らざるを得ない角膜移植では、今後、輸入角膜の割合を減らし、国内での提供角膜を増やしていく方向で考えなければなりません。(社)日本臓器移植ネットワークでは、国内における臓器提供の増加をめざし、様々な計画を進めています。臓器提供においては、まず生前の本人の意思表示が第一ですから、インターネットによる意思登録、意思表示カードやシールの記入、そして被保険者証や運転免許証の裏面の意思表示欄への記入などの手段を用いて、できるだけ多くの方々に意思表示をしてもらうよう呼びかけています。現在、角膜移植の待機期間はおおよそ半年です。眼科で最も多く行われている白内障手術の待機期間は、施設による違いはありますが約1〜2ヶ月です。もちろん角膜提供ありきの角膜移植と白内障手術を比較するのには無理がありますが、患者さんからすると、やはり同じ「見えない」状態が続いているわけですので、何とか早く手術をしてほしい、そして我々も何とか早く見える状態になってもらって、見える「喜び」を患者さんと共有したい、と常に思っています。

  愛媛アイバンクは、愛媛県内の角膜提供の増加に向けて、「県内角膜自給推進策」を展開すべく地道に活動しています。今後も、亡くなられた方の生前のご意思、ご遺族の真摯なるお気持ちにお応えできるよう、我々角膜移植医療に携わる考は、常に最善の医療を提供できるよう、日々の努力を惜しんではならないと切に思う今日この頃です。