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アイバンクだより Vol.23
角膜を提供いただいた方のご遺志を生かす、“橋渡し”に協カできることの喜び
松山赤十字病院 眼科 宇野 敏彦

 現在私は松山赤十字病院に勤務しております。平成21年3月までは愛媛大学付属病院に勤務し、角膜移植を中心とした医療を提供させていただいていましたが、同じ医療を松山市内でも行えるよう、現在奮闘しているところです。以前は角膜移植には縁の少ない病院でしたか、私の赴任後多くの角膜移植を手がけることができました。これもひとえに角膜を提供いただいた方のご遺志の賜物と感謝する次第です。ただ、最近では移植を希望する患者様の数は増える一方で、長くお待たせしている状況であります。

 角膜移植によりあきらめかけていた視力を取り戻した喜びは筆舌に尽くしがたいものがあるようです。数十年前に両眼の角膜が炎症を起こし白く濁ってしまった70歳過ぎの男性の方がおられました。視力を取り戻すのは不可能と診断され長らくあきらめていたようでしたが、とある眼科の先生のご紹介で、5年前私が診察させていただきました。

 車で3時間かけて来院されるという、かなり遠方にお住まいの方でした。「角膜移植とともに白内障を同時に治す治療法で視力の見込みがあります。」と伝えると生きる希望を取り戻したかのように明るくなってくれました。それから約1年お待ちいただきましたが、無事手術が成功しました。あきらめていた視力を取り戻し、新聞を読むことができるくらい回復しました。その後は家族2、3人に連れられて定期的に通院を続けてくれました。ある日外来診療の予約でない日にいつも一緒にこられていたご家族が外来にこられました。「診察ではないが、お伝えしたいことがある」といわれ、ご挨拶させていただいたところ、角膜移植を受けられた患者様は内臓の病気で亡くなられたことを伝えられまし た。亡くなる最後の日まで、「目薬をしないといかん」と家族に訴えていたそうです。悲しい知らせではありましたが、亡くなられるまでの数年でも十分な視力を保っていたことに対し、ご家族の方も大変満足されておられました。角膜を提供いただいた方のご遺志を生かし幸せな人生を取り戻せた方がいたこと、私自身この“橋渡し”に協力できたことを心からうれしく思いました。

 角膜移植の目的は大きく2つに分けることができます。1つはもちろん視力を向上させるというものです。この他に、外傷その他の原因で角膜に穴が開いてしまった場合に行う角膜移植があります。この場合、移植ができなければ数日で失明してしまうという状況も多く、緊急に対応しなければなりません。しかしタイミングよく角膜の提供がいただけることは稀です。この場合、愛媛アイバンクから全国のアイバンクに声をかけていただき、角膜を探さなくてはなりません。愛媛県は愛媛大学をはじめ、角膜移植を積極的に行う施設が多いこともあり、他府県から角膜を譲っていただくことが少なくありません。私自身も愛媛アイバンクの活動を通し、少しでも多くの角膜が提供いただけるように、努力を続けていく決意でありますが、これには皆様の温かいご支援がかかせません。どうかよろしくお願いいたします。

イメージ 手術室にて。眼科の手術は殆どが局所麻酔で行われます。患者様の不安や緊張が少しでも和らぐように、声かけをしながら手術をすすめていきます。