角 膜 移 植 に つ い て


1.目の見えない人びと

失明は人生にとり悲しい出来事のつです。そのために、空の広さ、海の青さ、花の美しさを見ることが出来なくなってしまいます。 このような視覚に障害のある人が、全国に35千人もおられ、そのうち角膜移植の適応と考えられる角膜疾患のための視覚障害者が千人(平成3年度厚生省身体障害者実態調査)もおられます。
 また、この調査の対象外である身体障害者の認定を受けていない人の中にも、角膜の病気で苦しんでおられる多くの人がおられ、最近はこれらの人達も、角膜移植によって救われるようになってきました。

2.角膜移植とは

 これらの人達が視力を取り戻すためには、
透明な人間の角膜が必要です。 

 角膜は眼球の最前部にある黒目と呼ばれる透明な組織です。これを通して光が網膜に達し、はじめて物が見えるのです。病気やケガで角膜が白く濁ると、見えなくなるのです。
 濁った角膜を透明な角膜と取り替える手術を角膜移植といいます。

3.角膜移植の歴史

 1789年にフランスのペリエ・ド・ケンシーがガラスを使って試みたのが初めといわれています。
 これが各国科学者の注目するところとなり、動物の角膜や、プラスチックなどの人工角膜を使って多くの実験と研究が行われた結果、人には人の角膜のみが移植可能なことが判りました。
 しかし、人の角膜はなかなか得難いので問題でしたが、1930年の初めにソ連のオデッサ大学のフィラトウ教授が、死体の角膜は移植でき、しかも極めて有効であると報告してから世界各国で角膜移植が盛んに行われるようになりました。

4.角膜移植の効果

 すべての視力障害者が、この手術によって視力を回復できるわけではありません。網膜や、視神経の病気で失明した人は残念ながら適応外です。
 角膜が濁ったり、変形したために見えなくなった人のみが適応となります。死後あまり時間の経たないうち(6時間から10時間以内)に眼球の摘出を行い、移植適否についての眼球の医学的検査後、特殊な保存液に眼球(角膜)を保存し手術を行います。                                             
 手術の成功率は90%以上ですが、術後の拒絶反応に対する十分な治療が必要です。


 
角膜白斑(ホシ目)    角膜移植後

 今後も技術と治療薬の進歩によって、成功率はさらに向上すると思われます。

5.移植の角膜

移植に使う透明な角膜は、亡くなられた人の眼球から得られます。角膜さえ透明であれば、近視や乱視・老眼の方でも、また、「白内障」のある目でも角膜移植に使えます。                    
 ただ、伝染の恐れのある病気で亡くなられた場合や、変死の場合は使えないこともあります。

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